■ フェノールフォームの原料と原液 |
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Q:フェノールフォーム用樹脂とはどんなものですか? |
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A:大別して下記の2種類があります。 |
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レゾール
フェノール(P)とホルマリン(F)を通常F/Pモル比が1以上のホルマリン過剰条件でアルカリ触媒を用い反応して得られる液体樹脂です。
ノボラック
フェノール(P)とホルマリン(F)をF/Pモル比が1以下のフェノール過剰条件で酸性触媒を用い反応して得られる固体樹脂です。 |
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Q:フェノールフォームはどのような原料でつくられますか? |
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A:フェノールフォームはフェノール樹脂と硬化剤、発泡剤などを一緒に混合加熱し、発泡と硬化反応によって得られる均一な発泡体です。 |
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フォームの種類 |
フェノール樹脂 |
硬化剤 |
発泡剤 |
レゾールフォーム |
レゾール |
有機、無機酸 |
ハイドロカーボン他 |
ノボラックフォーム |
ノボラック |
アミン |
有機発泡剤 |
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硬化剤
レゾールの硬化剤は一般にP−トルエンスルホン酸等の窒素ガス有機酸及びリン酸等の無機酸が使用されています。ノボラックの硬化剤はヘキサメチレンテトラミン等のアミンが使用されています。
発泡剤
レゾールには通常ハイドロカーボン、代替フロン等が使用されています。ノボラックには固体の発泡剤が用いられ、一般にはニトロソ系が使用されています。 |
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■ フェノールフォームの製造方法及び注意事項 |
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Q:フェノールフォームの製造方法にはどのようなものがありますか? |
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A:フェノールフォームは、それぞれ次の方法で製造されます。 |
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発泡形態種類
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▲フェノールフォームの製造方法には次のようなものがあります。 |
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スラブ発泡
スラブ発泡には連続法とバッチ法とがあり、長尺状のブロックを形成し、その後に一定の形状に裁断して利用する方法です。
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モールド発泡
モールド発泡は一定の型内で発泡させてから離型し製品を得る方法です。
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パネル発泡
パネル発泡は面材と枠からできたパネルの中で発泡硬化させてから得られる方法です。
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ラミネートボード発泡
ラミネートボード発泡はコンベア上と上方から、ラミネート面材を連続的に供給してその間で発泡成型する方法です。
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スプレー発泡
スプレー発泡は平面または曲面の被着体に直接スプレーして発泡硬化させる方法です。
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■ フェノールフォームの特徴と性能
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Q:フェノールフォームはどのような点で優れているのでしょうか? |
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A:フェノールフォームは、断熱性、不燃性、低発煙性、低毒性、耐熱性、耐薬品性、耐候性において優れた特長を有しています。 |
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Q:フェノールフォームに対して酸、アルカリ、有機溶剤はどのような影響がありますか?
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A:フェノールフォームは耐薬品性に優れるフェノール樹脂により作られるため一般の建築工事に使用される接着剤、塗料、溶剤、防蟻剤、防腐剤等によって侵されることはありません。
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Q:フェノールフォームの耐久性はどの程度ですか? |
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A:温冷繰り返し試験(70℃:{真夏の屋根面想定温度}〜-20℃:{真冬の壁面の温度}を繰り返し与える)を行った結果、フェノールフォーム断熱材は、同条件で試験した木材よりも劣化しないという結果となり、建物の通常の使われ方の範囲において、フェノールフォームの耐久性は、建物(木材)の耐久性と同等以上といえます。 |
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Q:フェノールフォームは時間がたつと変色しますが物性に影響がありますか? |
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A:フェノールフォームの色は、空気中の酸素により表面層が酸化されますが、物性上の変化はほとんどありません。
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Q:フェノールフォームの火や熱に対する性能はどのようですか?
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A:フェノールフォームは火炎により表面に炭化層が形成されることで、内部のフォームが保護され、難燃性に優れた構造となります。フェノールフォームの着火性を見る一つの目安として限界酸素指数がありますが、フェノールフォームは28〜32と高い値を示し難燃性に優れているといえます。
(限界酸素指数は燃焼する時の雰囲気中の酸素の割合を示しています。空気中の酸素の割合は21%程度のため、これより高い値を示すフェノールフォームは、燃えにくい物質であるといえます。)
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表-1各材料の限界酸素指数(LOI)の例
材料名 |
LOI |
フェノールフォーム |
32.1 |
木材(米松) |
21.6 |
合板(松材、接着剤:尿素樹脂) |
23.4 |
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引用文献――Ahren,H.W.,Zahradnik,B.,J.Fire and Flamm.,2,2,260,(1973)
試験方法はASTM−D−2963−76によります。
※酸素指数26以下のものは「指定可燃物」となり、その保管場所、保存方法に制限が設けられています。
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■ フェノールフォームの安全性 |
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Q:フェノールフォームは火災時にどのようなガスを発生しますか? |
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A:フェノールフォームが燃焼時に発生するガスは、主に二酸化炭素と少量の一酸化炭素で、青酸ガス、塩素ガス等の有毒ガスは発生しません。(表−1)さらに、フェノールフォームは燃焼時の発煙量が少なく(光遮断率が少なく)安全な材料といえます。(図−1)また、火災時のガス有害性が皆無に近く、その低毒性が証明されています。(図−2)
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表-1 フェノール樹脂燃焼時の発生ガス量測定結果
CO2(vol%) |
CO(vol%) |
HCN(mg/g) |
HCl(mg/g) |
0.093 |
0.0039 |
検出せず |
検出せず |
〈引用文献〉古屋、関谷、平佐:繊高研研究発表会(昭和54年7月3日)
図−1発煙量の経時変化 〈引用文献〉E.G.Norman:Plastics and Rubber Processing March 1979.41 |
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図−2有毒ガスの発生特性〈引用文献〉斉藤、第一回国際化学シンポジュウムOct,1895(ワシントン)
※全毒性指数は、小さいほど毒性が低いことを示す。CO2/CO比は小さいほどCOの発生比率が高く、大きいほどCO2の発生比率が低いことを示します。
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